1839年、パリの発明家ペリネ(Etienne Francois PERINET)が新しいピストンバルブを発明。このバルブは 当初コルネットに付けられ、1900年頃その発展型として、現在のピストンバルブへと進化。以来、100年間その構造に変化が見られないが、ピストン内部の管路がくねくねと曲がっており、管内径の有効な断面積が得られないという重大な欠点を抱えた構造を持っている。このため、鳴りムラが発生しやすく、音効率も限界があるという問題があるが、多くのメーカーは、どこの楽器も同じ構造のピストンバルブを採用しているため、問題認識さえしていないのが現状である。
一方、音楽を取り巻く環境は常に変化し、楽器に対しても、その変化に対応し得る性能アップが求められている。 この要求に対して、トランペットの場合、楽器重量を増加させたり開口部(ベル)の口径を大きくしたりして、ダイナミックレンジを広める等の対策が取られて来た。しかしながら、金管楽器の最も重要な内径形状(メンズール)における、根本的な解決は図られていない。事実、くねくねと曲がった曲管が隣接して存在し、しかも、その管路の断面に凹凸が存在している従来型のバルブ の改良は誰も成功していない。
そこで弊社は、独自の音響設計技術をもって、この誰も成功しなかった従来バルブの問題点を解決するために、新バルブシステムの開発をスタートさせた。その結果、管路の断面が全て真円(凸凹が皆無)で構成され、しかも、従来品に比較してはるかに滑らかな管路が得られる画期的なピストンバルブシステムを完成させた。さらに、この新バルブシステムはケーシングを連結するという画期的な構造を採用しており、その結果バルブの剛性が著しく向上したのである。
金管楽器が音を発生させる場合、管路内部の空気が振動し音を発生させるが、その楽器内部の定在波は、しっかりとした管体(筐体)が無ければ、充実したサウンドが得られない。また、管体を構成する金属は楽器内部の定在波の影響を受け、複雑な振動を起こす。逆に、その金属振動が、管体内部の定在波に影響を及ぼし、干渉と呼ばれる音効率の低下を招くのである。つまり、剛性の低い管体は、音エネルギーをロスしてしまう。その結果、豊かな安定した音が得られない。この点においても、弊社が開発に成功した新ピストンバルブシステムは、剛性が高く、音エネルギーの損失が少ない画期的な発明である。
実際、このバルブを搭載した『AIOLIA』を吹けば、これまでの トランペットと一線を隔すパワフルサウンド、スムーズな吹奏感、音の安定感など、瞬時に理解できよう。(開発者:濱永晋二氏/有限会社ベストブラス代表取締役社長)
【図1】従来のバルブ(1)
【図2】従来のバルブ(2)
【図3】従来のバルブ(3)
【図4】HAMANAGAバルブ(1)
【図5】HAMANAGAバルブ(2)
【図6】HAMANAGAバルブ(3)